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第3章 混沌と模索 蒲生の視点

SPEAKER

蒲生 忠志
ネオス株式会社
執行役員 開発技術本部長

Interview

私は2012年にネオスへ入社し、現在は札幌開発拠点を統括しています。当時のネオスは、ガラケーからスマートフォンへと事業をシフトしつつあり、新たなサービスの立ち上げや受託領域の開拓など、さまざまな可能性を模索していた時期でした。札幌開発拠点もまだ規模が小さく、社員は十数名ほど。オフィスも市内に点在し、外部パートナーにも入ってもらっていました。ガラケー向けエンジンやスマホ用メーラーアプリ、通信キャリアとのR&Dなど、受託案件を中心に取り組みながら、現在のSaaS事業における中核である「OfficeBot」や「SMARTアドレス帳」といった自社サービスにも立ち上げ段階から携わっています。

開発の幅を広げていくなかで人員も少しずつ増えていき、2019年には市内に点在していたオフィスを統合。「Neos Sapporo Developers Park」としてリニューアルし、100名を超える社員・パートナーが集う拠点へと成長しました。今では札幌単独での採用も始まり、新卒を含む若手が着実に育つとともに、受託中心のチーム、自社サービス開発を担うチームなど多様な組織体制が整い、活発な雰囲気が醸成されています。

リニューアル後の札幌オフィス。執務エリア手前のフリースペースでは、日々新たなコミュニケーションが生まれている。

この10余年で多くの案件を経験してきましたが、特に忘れられないのは2010年代後半に受託したとある大型プロジェクトです。進行が難航し、いわゆる炎上案件となったタイミングで私がリカバリー要員として加わることになりました。現状を確認すると、成果物はほとんど形になっておらず、連携していたベトナムのオフショア拠点や対クライアントにおけるコミュニケーションも十分ではありませんでした。そこで、プロジェクトメンバーを思い切って全員外し、少人数の新しいチームで対応を担うことを決断。課題の洗い出しから、仕様の再整理、スケジュールの再構築まで、ほぼゼロから立て直すような状況で、気づけば50日間連続で稼働していたことを覚えています。
先方との会議の度に厳しい叱責を受ける日々でしたが、本社側で共にリカバリーにあたっていた当時の上司がクライアントに真正面から向き合っている姿に鼓舞され、自分も誠意を示し続けました。その甲斐もあり、最終的にはクライアントも「自分たちにも非があった」と親身に対応してくれて、プロジェクトは無事にクロージングへ。信頼を勝ち得たことで、今では当時を笑い話にできるほど良好な関係が築けています。
この経験を通じて、いかに厳しい状況でも真摯に向き合い、「最後まで責任を持ってやり切る」姿勢が組織にとって不可欠であることを痛感しました。無論、炎上案件に至らないようなマネジメントは大前提ですが、クライアントに納得いただける形になるまでやり切れたことは大きな糧となり、現在の適材適所を意識した人員配置や組織づくりにも確実に活きていると感じます。プライベートではちょうど第一子の誕生と重なり、生活面でも大きな負荷がかかる時期でしたが、「あの経験を経たからこそ、もう怖いものはない」と思えるようになりました。

ネオスで働く上で強く感じるのは、“前向きな姿勢で取り組むこと”の大切さです。クライアントや課題に真摯に向き合い、得た知見をいかに活かすかを常に考える、そうした意識の高い人たちと働ける環境があることは強みであり、何よりの刺激になっています。これまで共に歩んできたメンバーも「もっと提案しよう」「色んな挑戦をしよう」という姿勢を持ち続けており、私自身も多くの学びを得てきました。今後も札幌拠点を含めたネオス全体の成長を見据え、組織を力強く導いていけるよう努めていきたいと思います。