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トップメッセージ

テクミラホールディングス株式会社 代表取締役社長 池田 昌史

ライフデザイン×AI/IoTでさらなる成長を実現

自社事業における強固な基盤の確立に向けて、AI、デバイス、ゲームソフト、ヘルスケア、決済など、成長事業の幅も大きな広がりを見せつつあり、新たな高成長の実現が視野に入りつつあります。

テクミラホールディングス株式会社 代表取締役社長
池田 昌史

ご挨拶

平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。長い新型コロナウイルスのパンデミックが明け、本格的な経済活動の再開からほぼ1年が経過しました。かねてより発表させていただいた通り、当社は2023年10月より社名を「テクミラホールディングス株式会社」へと変更し、株式市場も東証のプライム市場からスタンダード市場へと変更いたしました。「TechnologyとCreativeをもって、miracle(驚き・奇跡)のある体験や価値を提供し、豊かで明るい未来を創造していく」、という目標を改めて再認識し、グループ社員一同でこれを力強く推進してまいります。

また、2024年4月19日をもって当社は創立20周年を迎えました。株主の皆様のご支援に心より感謝を申し上げるとともに、今後も一層のご理解、ご支援のほど、重ねてお願い申し上げます。

新たな事業構造による増収増益

新社名への移行と共に、持続的な成長のための変革を目標とした新たな中期経営計画を策定、発表いたしました。自社事業を成長ドライブとして、2027年度には140億円の売上高、14億円の経常利益を目指していくというものです。足下では、その自社事業が着実に拡がっています。

AIチャットボット「OfficeBot」は、他社に先駆けてChatGPTと連携した効果もあり、新規契約数が約4倍になるなどの成果を生み出しています。aiwaブランドでのデバイス展開に関しては、家電量販店のランキングにおいてAndroidタブレットの販売シェアが上位を記録するなど、日本ブランドが少なかったマーケットでの確かな足がかりを具現化しつつあります。また、ゲーム分野では、2021年7月に発売し、独立系コンテンツプロバイダーとしての地位を確立したクレヨンしんちゃんタイトルの新作「クレヨンしんちゃん『炭の町のシロ』」を2024年2月22日に発売いたしました。市場環境の変化もあり、前作ほどのロケットスタートとはなりませんでしたが、メディア、ユーザーともに高い評価をいただき堅調に売上を伸ばしております。新たな成長マーケットであるウェルネス分野でも、(株)リンクアンドコミュニケーションのグループ参画により、PHR(Personal Health Record)市場のノウハウ活用や健康支援サービスにおける事業シナジーの創出など、積極的な展開を可能にする体制を構築いたしました。

新中期経営計画の実現に向けて、2024年度は100億円超の売上高達成を目指し、自社事業による成長という新たな事業構造を築きながら、増収増益の実現に向けて歩みを進めてまいります。

自社事業強化に向けた取り組みを強力に推進

2023年度の決算は、売上高は1%の微増にとどまり、経常利益、純利益ともに減益となりました。コネクテッド、およびAI&クラウドセグメントは増収となりましたが、ライフデザインセグメントが大幅な減収減益となったことが主要因です。昨年度の業績に大きく寄与したゲームソフトの海外販売が一巡したこと、新作タイトルの発売を年度末時期に見直したこと、BtoBサービスへのシフトによりソリューション案件が減少したことや不採算プロジェクトが生じたこと、ネオス(株)のヘルスケア事業が、(株)リンクアンドコミュニケーションへの分割に伴い2024年1月、2月に連結除外となったことなどが挙げられます。

ライフデザインセグメントにおいてもBtoBサービスなど自社事業のさらなる強化を進めており、コネクテッドセグメントにおけるaiwa事業、AI&クラウドセグメントにおけるSaaS事業の拡大など、2023年度は全体としては僅かな増収にとどまったものの、自社事業シフトについての流れを強力に進めることが出来た一年であったと総括しています。

営業バリューの向上

社会的なDXニーズの増大に伴い、法人顧客からの案件相談も増加するなか、スクラッチ型のゼロベースからの企画・開発提案と、自社サービスを使ったソリューション提案をミックスして顧客要望を実現していくというシーンが増え、明らかに営業バリューが向上しました。収益性も高まりつつあり、新中期経営計画の実現にも十分な手応えを感じております。

ヘルスケア事業に大きな価値

大きな変革として、2024年1月より、ライフデザインセグメント内のヘルスケア事業を、同分野において20年以上の実績を有する(株)リンクアンドコミュニケーションへ吸収分割し、同時に、同社の株式を取得することでグループ入りを実施いたしました。3月1日より連結P/Lへの組み入れを実施し、4月1日より同社社名を「株式会社Wellmira」に変更しております。

(株)Wellmiraの設立がもつ可能性は大きなものです。ウェルネス分野には、様々なニーズが存在し、それに対応したソリューションやノウハウが求められています。たとえば、健康管理アプリやオンラインカウンセリングにおいては、収集データを活用するために管理栄養士や医師などの専門家とのネットワークが欠かせません。ここには同社が業界の先駆者として、20年以上培ったノウハウが生きてきます。一方で、ヘルスケアやウェルネス分野でのデジタル化ニーズの増大に対しては、より多くのエンジニアリソース投入とソフトウェア、ハードウェアに亘る技術力が必要とされます。ここにはコンテンツ、ソフトウェア、ハードウェアを展開してきた経験や技術力に加え、日本国内外において開発体制を有するテクミラグループの強みが生きてくると考えております。

新体制でのスタートとなる2024年度においては、もともとネオスが提供していた健康経営支援サービス「RenoBody」に加えて、AIにより食生活から睡眠まで総合的な健康管理を支援する「カロママプラス」、管理栄養士によるオンライン特定保健指導など、健康支援サービスのラインアップ化によるプレゼンス向上や、ヘルスケアデータをベースとした新たな事業の展開、ネオスのBtoBサービスとの連携なども視野に取り組んでまいります。

新中期計画実現に向けた飛躍の年へ

新中期経営計画では、2027年度に売上高140億円、経常利益14億円を目指すという目標を掲げております。中長期的に高成長を持続できる事業基盤を構築するため、M&Aや投資にも引き続き積極的に取り組むとともに、計画の柱となる「自社事業を中心とした拡大と事業構造のシフト」を推進してまいります。

2024年度は、事業セグメントにおいて、引き続き3セグメント構成としながらも、名称変更および一部事業シフトに伴う定義変更の実施により、「ライフデザイン事業」、「AI&クラウド事業」、「IoT&デバイス事業(旧コネクテッド事業)」とし、それぞれ2023年度に蒔いた種から成長をドライブさせていく予定です。

新作ゲーム事業の世界展開

ライフデザインセグメントにおいては、年度末の2024年2月22日にNintendo Switch向けの新作タイトル「クレヨンしんちゃん『炭の町のシロ』」を日本で発売しております。2023年度は1週間の販売期間しか業績に寄与しませんでしたが、メディア、ユーザーともゲームに対する評価は高く、前作のコンセプトが夏に特化した内容だったのに比べ、季節性がない通年商品として今後も拡販を図ってまいります。加えて、2024年5月にはアジア版を発売し、現地のさまざまなチャネルでプロモーションを展開しています。アジアでのクレヨンしんちゃん人気は日本を上回る勢いがあり、韓国では初回受注が前作を上回るスタートとなる見込みです。2024年度は、前作同様にアジアのみならず欧米を含む世界展開を本格化させてまいります。

BtoBサービス分野の強化

また、ライフデザイン領域でのBtoBサービス強化にも注力しており、キャッシュレス決済等の既存サービス拡大に加え、業種別に特化したDX支援サービスの提供を開始しております。酒販業界向けDXサービス「スマはっちゅう」は、酒販店と酒販卸売業者の取引における電話やFAXによる受発注をスマホに一元化し、キャッシュレス決済に対応することで双方の業務効率化や不要コストを削減するものです。利用登録店舗数は78,000店を突破しており、ニーズに応じた機能拡充なども進めております。また、医療・介護向けDXプラットフォーム「KarteConnect」は、予約、問診、カルテ連携から薬剤の発注、在庫管理などの業務効率化や、チャット連携による患者とのコミュニケーションプラットフォームとして提供を開始しています。2023年度には京都市保健所に導入、2024年度は都内の総合クリニックや介護事業所などに採用が決定しており、こちらも本格的な展開を進めてまいります。

生成AIで事業を拡大

AI&クラウドセグメントは、AIチャットボットが順調に拡大しております。2023年度は売上拡大を最大の目的とし、宣伝販売と開発環境への投資に注力した結果、セキュリティ環境や回答精度などの技術品質向上にも高い成果が現れており、新規契約数は前年比で約4倍となりました。2024年4月にはフルリニューアル版を発表し、さらに引き合いが増加しています。大変競争の厳しいマーケットですが、上位シェア獲得のためのアクションを継続することでこの拡大基調をさらに加速し、SaaS事業の基盤を強固なものにしていきたいと考えています。

また、ソリューション面でもAIのニーズは拡大しており、AIチャットボットのようなパッケージ的なサービスに対し、個別のカスタマイズやスクラッチ開発などの要望も増えてきている状況です。これらのニーズに対応するため、法人向けのセキュアなGPTモデルの活用環境構築からカスタマイズまで対応したフレームワーク「AIdea Suite」を開発しました。これによりAIチャットボットをフックとした既存クライアントへの展開や、新規の案件相談に対応しながら、顧客ごとのニーズに合ったAI活用を支援し、我々の強みを活かしたAIソリューションとしての取り組みを強化してまいります。

好調なaiwaブランドをさらに拡大

IoT&デバイスセグメントでは、2023年度は主力であるODM事業において利益面で為替が大きく影響しました。しかしながら自社事業として立ち上げたaiwaブランドのデバイス販売が好調に推移し、セグメント全体としては、順調に成長軌道を描いております。2022年度にブランドを立ち上げ、販売活動は2023年度からが本格的なスタートでしたが、Androidタブレットを中心に売上を伸ばし、ラインアップの拡充にも積極的に取り組んでおります。aiwaのブランドイメージや日本メーカーとしての品質などの優位性を活かし、タブレットに続く主力製品の創出や、新たな領域における製品展開にも取り組んでまいります。

IoT需要本格化への対応

ODM事業の市場環境としては、IoT分野の成長が今後も続くことが見込まれます。これを踏まえ、ピクシーダストテクノロジーズ(株)や、従前からスマートロック等の製品開発で連携していた(株)ビットキーに出資するなど、資本提携も含めたIoTテックベンチャーとの関係強化も推進しております。また、この分野においてはデバイスはもとより、データを処理するクラウド環境やソフトウェアを含めたトータルでの対応が重要であり、これら全てのニーズに対応できる企業は日本では少なくアドバンテージが大きいと考えております。この強みを活かし、先端IoTベンチャーに対するソフトウェアからハードウェアまでのサポートを通じて、共に事業を成長させていくことを目指してまいります。

自社事業を核に据えた新たな成長軌道へ

2024年度は、新たなグループ体制や市場での優位性を活かした展開により、自社事業を本格的に拡大することで今一度成長軌道に乗せていくという絵を描いております。配当については、新中期経営計画で発表しております通り、安定配当を基本としながら、利益の拡大に応じて配当性向20%程度を目途に配当額を向上してまいりたいと考えております。株主の皆様におかれましては、引き続きご支援のほどよろしくお願い申し上げます。