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対処すべき課題
対処すべき課題
- グループ経営の強化当社グループが属する情報通信市場は、近年では生成AIの進化など、画期的な技術革新が起きており、DX化がさらに加速して進展していくことが予想されます。こうした市場のなかで、当社グループが魅力的なプロダクト、サービスやソリューションを提供し、継続的な競争優位性を維持していくためには、グループ各社及び各事業セグメントが有する技術力やノウハウ、顧客基盤を有機的に結合するとともに、業務提携やM&A等の外部施策の展開、新規事業開拓への積極的なチャレンジ等が極めて重要であると認識しております。これらに対処するため、持株会社テクミラホールディングス株式会社による資本政策の充実、新規事業やパートナー開発の推進、事業セグメント間の柔軟な連携やシナジーの発揮、また生成AI活用ノウハウの共有等を推進し、さらなる競争力強化と事業拡大に取り組んでまいります。
- 自社プロダクト&サービス事業の拡大当社グループの中長期的な企業価値向上のためには、自社の強みを活かしたプロダクト&サービス事業の一層の拡大が不可欠です。現在、当社グループでは、ゲームソフトやキッズアプリなどのキャラクターコンテンツを活用したコンシューマサービス事業、AIチャットボットやクラウドアドレス帳サービスといったAI&クラウド分野のSaaSサービス、さらにヘルスケアやプリペイド決済等のBtoBサービスを展開、また、IoT&デバイス分野ではaiwaブランドによる自社製品事業にも注力し、タブレットPCやデジタルカメラなど新たな製品領域の拡大も進めています。一方で、これらの自社プロダクト&サービス事業においては、新サービスの開発遅延に伴うコスト増、継続的な製品強化やマーケティングのための先行投資による採算改善の遅れ等の課題が発生しております。今後は、これらの課題を踏まえ、サービス開発体制の強化やコスト管理の徹底、事業ポートフォリオの見直し、市場調査や顧客ニーズの把握による製品開発力の強化等を通じて、自社プロダクト&サービス事業の収益性向上と持続的な成長を実現し、安定的な収益基盤の構築を目指してまいります。
- 競争力の高いソリューション事業の推進ソフトウェア開発の領域においては、近年、様々なSaaSサービスの登場やノーコード、ローコード化の進行、企業自身によるアジャイル開発志向の増加によるアウトソーシング需要の変化などの構造的な変革が進んでいます。さらに昨今では、生成AI技術の進展がこの領域に大きな影響を与えており、これまで当社の主軸であったスクラッチ型のソフトウェア開発という市場が大きく変わりつつあります。こういった変化を見越して当社グループでは、ソリューションの事業について次の3つの方向を指向していく方針です。一つは、自社サービスの展開により、ノウハウの蓄積されたヘルスケア、決済、教育などのX-Techサービス分野でのソリューションへの重点シフトです。二つ目は、これまでAIチャットボットやクラウドアドレス帳などSaaS事業を展開してきた強みを活かした、これと関連する「AI&クラウド」分野のソリューションへの注力です。三つ目は、IoT&デバイス事業を展開している優位性を活かして、デバイスと同期したプラットフォームやIoTのアプリケーション開発を展開していくという分野です。当社グループは、コンテンツ、ソフトウェア、ハードウェアという3分野にわたる技術やノウハウをクロスさせ、事業セグメント間の連携によるシナジー効果を発揮していくことで、当社ならではのトータルソリューションを提供し、収益力の強化に取り組んでまいります。
- 柔軟かつ優位性のあるIoT&デバイス事業の推進IoT&デバイス事業の領域においては、世界的な潮流を踏まえた技術開発や、コスト競争力の優位性確保、また昨今の地政学的リスクや各国の関税政策、為替変動等の影響に対するリスクヘッジが不可欠であると考えております。そのためには、企画、設計段階からのグローバルな開発、製造体制の構築を推進し、その柔軟性も確保していく必要があります。当社グループのJENESIS(株)では、設計開発、製造子会社の創世訊聯科技(深圳)有限公司を有しておりますが、ベトナムへの製造委託、インドにおける共同開発等、多国間での生産開発分業体制を施行しており、今後も環境変動や経済政策の変化に柔軟に対応できるレジリエントなサプライチェーンモデルへの移行を進めて行く方針です。また、コモディティ製品や大量生産が求められる製品については、コスト競争力や生産効率を最大化するため外部委託を活用し、DXや産業用途などの高付加価値案件や、セキュリティ性の高いIoT製品については、自社深圳工場で設計・製造を行うことで、品質や独自性、技術的優位性を確保する方針です。しかし、こうしたハイブリッドな体制を維持・発展させていくためには、外部委託先に対する品質・工程管理や複数拠点にまたがる生産管理体制が不可欠です。IoT&デバイス事業全体として柔軟性と優位性を維持するため、外部委託と自社開発のバランスを適切に保ち、各市場や製品特性に応じた最適な開発・生産体制を構築・運営してまいります。
- グローバル化の推進ソリューションビジネスにおける熾烈な競争環境で競争優位性を維持しつつ、自社プロダクト&サービス事業の成長拡大を図るためには、グローバルな視点にたった経営体制の構築が不可欠であると考えております。当社グループは、ソフトウェア開発ではベトナムのハノイにNEOS VIETNAM INTERNATIONALCO.,LTDを有しており、既に深圳とハノイで連携したIoTソリューションの提供に取り組んでいますが、ベトナムでの生産やインドでの共同開発など更なるグローバル化推進の中で地域間を連携した新たな取り組みも検討してまいります。また、ゲームソフトなどのコンシューマサービス事業におきましても、既に韓国、台湾、香港、中国、東南アジアを中心としたアジア地域では、各国のディストリビュータと提携したマーケティングやパッケージ流通を積極的に展開しています。今後も、アジア地域での事業拡大と、市場の大きい欧米地域での事業展開に向けて、各国地域毎のニーズの把握や事業パートナーの発掘、マーケティング体制の充実、法規制、文化・商習慣の違いの把握等に加え、海外コミュニケーション能力の高い人材の育成や獲得を推進してまいります。
- プロジェクトマネジメントの強化当社グループの成長に伴い、長期にわたるソフトウェア開発受託プロジェクトや、大規模なハードウェア製造受託プロジェクト、また大型のゲームソフト開発などが増えていく傾向にあります。これらの大型プロジェクトについては、より高度なプロジェクト管理が要求されるため、マネジメント力をさらに強化していくことが必須と捉えております。具体的には、(1)受注時、企画時における見積り精度の向上、(2)きめ細かな開発、製造要員計画の立案、(3)品質管理体制の拡充、(4)仕様決定プロセスにおける顧客確認、外注先確認の徹底、(5)顧客、外注先との緊密なコミュニケーション、(6)グループ会社間、部門間を跨いだプロジェクト管理体制の構築などが重要と考えており、具体的には、社内ルールとしての「プロジェクトマネジメントガイドライン」や「行動原則」を整備しており、これらのグループ全体への定着活動を推進してまいります。
- 有能な人材の確保及び育成各事業の競争力強化を推進していくにあたっては、それぞれの事業に必要な人材を確保、育成していくことが重要であると考えております。当社は、昨年12月、HRtech事業、人材採用事業を行う(株)Retoolを子会社化し、有能な人材の確保に向けた取り組みを強化いたしました。同社を最大限活用することに加え、更に多面的な採用活動を進めてまいります。また、職場環境の整備、モチベーション向上のための表彰制度の実施、教育、育成制度の充実などに対しても、積極的かつ継続的に取り組んでまいります。
- セキュリティ体制の強化当社グループの事業領域の拡大、業容の多角化に伴い、業務に関連した個人情報や、顧客の機密情報を取り扱うケースが増えております。そのため、当社グループのソリューション事業におきましては、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格である「ISO/IEC27001:2013/JISQ27001:2014」に基づくISMS認証を取得しております。また、設計、開発、製造、運用、保守の各段階におけるセキュリティ標準遵守の徹底や、グループ全体にわたるセキュリティ教育、啓蒙のさらなる推進、ソフトウェア、デバイス、社内ネットワークのモニタリング体制の拡充などを進めておりますが、情報セキュリティの確保は、企業の社会的責任であることをグループ各社が改めて再認識し、継続的にその取り組みを強化してまいります。
- ESG経営への取り組み当社グループは、IoT&デバイス事業、AI&クラウド事業を通じたデジタル社会の産業基盤構築への貢献、ライフデザイン事業を通じた健康増進への取り組みや、知育アプリ、教育コンテンツプロデュースを始めとするEdTechサービスの提供等、あらゆる事業活動を通じて、サステナブルな社会の実現に向けた課題解決に貢献してまいります。また、当社グループが、持続的に企業価値を成長させていくためには、ESGの課題に対して、より積極的、能動的に対応していく必要があると考えています。環境問題に関する取り組みとしては、電子契約の導入、ペーパーレス会議等による、コピー用紙使用量の削減に取り組むほか、リモートワーク制度、フリーアドレスの導入等によるオフィス面積縮小等に伴う電力使用量削減などを推進しております。また、深圳における製造体制では、環境マネジメントシステムの国際規格「ISO 14001」認証を取得し、環境負荷の削減や、資源の効率的な活用に注力しています。引き続き、こうした環境配慮型の事業推進体制を構築してまいります。社会に関する取り組みとしては、引き続き、社会問題解決に寄与するソリューション、サービス、製品開発を推進するほか、かねてから注力しておりますワークライフバランス、ダイバーシティ、健康経営等への取り組みをより一層推進してまいります。ガバナンスに関する取り組みとしては、持続的成長を可能とする企業体質の確立に向けて、海外の拠点、子会社を含むグループ全体のコーポレートガバナンスの強化、並びに内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。グループ経営体制としては、権限移譲によりグループ各社の経営自由度を高める一方、グループ経営に関わる重要事項については、テクミラホールディングス株式会社の取締役会承認とするなど、より高度な体制を構築しているほか、指名報酬委員会、独立社外取締役会の設置、コーポレートガバナンス基本方針の制定、開示等を行っており、引き続き体制強化への取り組みを推進してまいります。