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トップメッセージ

テクミラホールディングス株式会社 代表取締役社長 池田 昌史

主要事業の好調と自社プロダクト&サービス事業の着実な前進

2024年度は主要事業の安定成長と自社プロダクト&サービス事業への先行投資に注力。2025年度はその成果を収益化へとつなげる重要な一年となります。

テクミラホールディングス株式会社 代表取締役社長
池田 昌史

ご挨拶

当社グループでは、2023年度に掲げた中期経営計画において「受託系中心の事業構造から、自社事業拡大による収益性向上へと軸足をシフトする」ことを基本方針として掲げており、各セグメントにおける主要事業の基盤を着実に強化しつつ、自社プロダクト&サービス領域における開発・営業活動を積極的に展開しました。その結果、2024年度の売上高は約111億円と、前年比24億円以上の増収を達成し、中期経営計画で掲げる2027年度の売上高140億円に向け、確かな一歩を刻むことができました。

2025年度は、自社事業において積み上げてきた開発成果をもとに営業展開を本格化させ、成長と収益化を牽引するフェーズへと移行してまいります。また、ゲーム開発やデバイス生産体制の強化など、中長期的な成長も見据えた着実な基盤構築を進めてまいります。変化の激しい経営環境ではありますが、当社グループは柔軟な対応と社員一人ひとりの不断の努力により、持続的な企業価値向上を目指してまいります。引き続き株主の皆様にはご支援を賜りますようお願い申し上げます。

「成長投資元年」の成果と展望

2024年度は中計における実質的な初年度として、「各セグメントの主要事業であるゲーム、ソフトウェア開発、IoTデバイス事業において利益を確保し、その収益を成長分野の自社プロダクト&サービス事業の先行投資に充てる」――という目標を掲げてスタートしました。まず、各セグメントの主要事業に関しては、いずれも計画を上回る売上高を達成し、極めて順調に進捗しました。社会全体においてもDXやIoT化の流れは継続的に拡大しており、企業の旺盛なDX投資意欲や自治体・政府の推進施策なども事業拡大の追い風となっています。

一方で、自社プロダクト&サービス事業については、AI事業への研究開発費用の増加や開発コストの増加などにより、当初計画した収益の確保には至らなかったものもありましたが、SaaS事業やウェルネス事業などは2024年度下期には黒字化を達成しており、総体的には今後の事業拡大に向けた前向きな取り組みが進んだものと捉えています。

2025年度は、主要事業については安定的な成長を継続しつつ、ゲーム事業における新作開発の推進、IoTデバイス事業におけるグローバルな生産体制の構築など、次の飛躍に向けた準備にも注力してまいります。また、先行投資を行ってきた自社プロダクト&サービス事業については本格的な収益化フェーズへ移行し、生成AIをはじめとする研究開発へのリソース投入も継続することで競争力の底上げも図ります。こうした取り組みを通じて、中期経営計画に掲げる2027年度売上高140億円の実現に向け、着実に歩みを進めてまいります。

中期経営計画の実質初年度として
2つの大きな目標に取り組み成果を挙げた一年

本年度は、中期経営計画の実質初年度として、2つの目標を達成すべく事業に邁進しました。1つ目の「ゲームソフト、ソフトウェア開発、IoTデバイスの各セグメント主要3事業で利益を確保」という目標については、極めて順調に推移し、期首計画を上回る実績を挙げることができました。また、2つ目の、主要3事業で得た利益を「成長ポテンシャルが見込める自社プロダクト&サービス事業へ先行投資し成長させる」という目標も、一部遅れが生じた事業があったものの、計画通りの成果を挙げた事業も多くあり、“自社事業の成長”という全体戦略は大きく進捗しました。「受託系事業中心から、自社事業拡大による収益性の向上」を目指す中期経営計画の達成に向け、大きな一歩を踏み出した一年であったと思います。

主要3事業による収益獲得は極めて順調に推移
売上高も過去最高を更新

ライフデザインセグメントのゲーム事業では、昨年度末に国内で発売したNintendo Switch新作ソフト「クレヨンしんちゃん『炭の町のシロ』」の海外展開が成功を収めました。海外販売本数は前作を上回り、今もリピート販売が好調に続いています。AI&クラウドセグメントのソリューション事業は、通信キャリア系のDX開発や、「人材育成・研修システム」向け研修アシスタントAI、「AIセールス」向けセールスアバターの開発などの高付加価値案件の成約もあり、高水準の利益を確保しました。また、IoT&デバイスセグメントのODM事業も、コロナ期から大きく回復、計画を大幅に上回る増収となり、生産効率の改善や増収効果によるコスト低減でセグメント利益は前年を大きく上回りました。

自社プロダクト&サービス事業への先行投資と成長についても確実に進捗

自社プロダクト&サービス事業も売上高は、着実に伸長しました。

ライフデザインセグメントでは、成長ポテンシャルを見込む自社事業として「HealthTech」と「FinTech」のDXサービス事業を推進しました。「HealthTech」では、M&Aにより事業拡張したウェルネス事業が、上期の赤字から下期は計画通りに黒字化し、通期でも黒字となりましたが、医療従事者向けに展開するメディカルケア事業では、開発遅延とコスト増により計画を下回ることとなりました。「FinTech」については、小売店や飲食店向けサービスに加え、地域プロジェクトへの応用展開等により拡大基調で推移しました。

AI&クラウドセグメントでは、AIチャットボットとクラウドアドレス帳のSaaS事業における拡大が継続しており、当期の第4四半期には黒字化を達成しました。AIチャットボットは、生成AIの技術進化が目覚ましく、また競合も多いのですが、品質や性能の向上、マーケティング活動の強化が功を奏し、事業拡大が続いています。

IoT&デバイスセグメントの自社製品事業であるaiwa事業は、事業開始から二年以上が経過し、量販店等を通じた個人向けチャネルと代理店を通じた法人チャネルの両面で、タブレットPCを中心に認知が進み、本年度も事業が拡大しました。新領域への製品投入も、デジタルカメラなどを中心に積極的に行っています。

自社事業の一部で進捗が遅れたことで利益計画の達成には至りませんでしたが、各事業の戦略推進と事業基盤づくりは着実に進捗しており、来期に向けた展望が大きく開けた年度であったと考えています。

2025年度:引き続き売上高は過去最高を更新
経常利益の倍増を見込む

前年度に大きく収益に貢献したゲーム事業とODM事業は、本年度においては次の飛躍に向けた準備の年となる見込みですが、グループ全体では自社プロダクト&サービス事業がそれぞれ黒字化し、利益拡大フェーズに移行することで、自律的な成長路線へとシフトしていく重要な年になると考えています。売上高は引き続き過去最高を更新し、経常利益についても前年度比で倍増を見込んでいます。

自社プロダクト&サービス事業が大きく開花

ライフデザインセグメントでは、前年度下期から黒字化している(株)Wellmiraのウェルネス事業において、さらなる黒字拡大を見込んでいます。また、前年度は赤字であったメディカルケア事業及びFinTech事業も黒字転換することで、利益拡大に寄与する見通しです。さらに、昨年末M&Aにより新たにグループ入りした(株)Retoolは、生産性向上ツールや人材スカウトツール等を展開するHRTech事業会社であり、初年度からの利益貢献を見込んでいます。加えて、同社が保有する人材採用におけるノウハウにより、グループ各社の人材獲得に資する取り組みも強化してまいります。

AI&クラウドセグメントでは、前年度第4四半期から黒字化したSaaS事業の通期黒字化を見込んでいます。これまで進めてきたAIチャットボットの性能向上や販促強化に加えて、クラウドアドレス帳サービスにも注力していきます。本サービスはKDDI(株)の法人顧客向けを中心に、現在2,300社・団体以上にご利用いただいています。サービス開始から12年目に突入し、昨年7月には大規模リニューアルによる全面刷新を行うとともに、本年3月からはフルクラウド版を新規投入し、サービスラインアップの拡充を進めております。引き続きAIチャットボットとクラウドアドレス帳サービスの両輪で、SaaS事業全体の成長を目指してまいります。

IoT&デバイスセグメントでは、aiwa事業において本年3月からChromebook製品の投入を開始しており、主力であるタブレット製品群の強化と市場深耕を推進いたします。また、好調なデジタルカメラ領域をはじめとする新たな製品カテゴリへの取組みも継続し、さらなる事業拡大を図ってまいります。

既存の収益事業は次の飛躍に向けた準備期間
中期経営計画の達成に向け重要な一年へ

既存事業のうち、ソフトウェア開発については、引き続きDXやAIなどの高付加価値案件の開発を推進してまいります。一方、ゲームについては今年6月に発売予定のNintendo Switch 2の市場動向を慎重に見極めるべく、本年度は新作発売を見込んでおりませんが、来年度以降は毎年新作投入を予定しており、既に体制強化及び開発を鋭意進めている状況です。

IoT&デバイス事業では、柔軟で効率的な生産体制の構築を本格化いたします。以前から生産体制の見直しは検討してきましたが、米国の新たな関税政策を機に、これまでの中国自社工場での全量生産から提携工場を含めた多角的生産体制へ移行し、事業基盤の強化とリスク分散を図ってまいります。

自社プロダクト&サービス事業が利益拡大フェーズに移行することに加えて、既存の収益事業においては来年度以降のジャンプアップを目指して、準備を進める重要な年となります。全セグメントにおいて、より高いレベルで安定した利益成長を行える構造にシフトし、2027年度の中期経営計画の達成を目指すべく、着実に事業を推進してまいります。