SPEAKER
- 安藤 嘉規
- ネオス株式会社
サービス開発本部 シニアマネージャー
Interview
私はネオスの前身であるカタリストモバイルに入社後、課金決済システムや動画・音楽配信サービスなどの開発に携わってきました。2012年にカタリストがプライムワークスへ吸収合併され、ネオスとして統合された後も、変わらずプロジェクトマネージャーという立場で、プロジェクトの進行や全体ディレクションを担当しています。

通信キャリアによるガラケーサービス中心の時代から、スマートフォンの普及、通信インフラの進化とともに、オンラインサービスは大きく変化してきました。私自身、その変化を現場で体感しながら、各時代の要件に応じた開発経験とノウハウを積み重ねてきました。特に動画配信の領域では、技術革新のスピードが非常に速く、海外の事例なども積極的に取り入れながら、仕様や構成を柔軟にアップデートすることが求められてきました。
現在、同様のことが生成AIの分野で起こり始めています。しかも今回は、動画の様に単一のサービス領域にとどまらず、あらゆるWebサービスや開発業務に影響を及ぼす規模で変化が進んでいます。そうした中で、プロジェクトを円滑に進め、最適なアウトプットを導くためには、現場レベルでの技術やトレンドに対する理解が不可欠だと考えています。マネジメントの立場であっても、エンジニアと同じ目線で情報をアップデートし続けることが重要です。
技術の進化に伴い、開発手法も柔軟に変化しています。近年は特にスピードが求められることから、スクラム開発など、効率を重視したアジャイル型の手法が主流になりつつあります。一方、受託案件においては依然として保守的な手法が求められる場面も多く、従来のウォーターフォール型を採用するケースも少なくありません。
しかし生成AIの進展は、こうした従来型の開発プロセスそのものを大きく揺るがす力を持っています。極端な例では、発注側が自社内でAIを活用し、一定レベルのプログラムを自動生成できるようになるフェーズまで来ています。こうした状況下において、私たちのような開発パートナーとしての提供価値は、「言われたものを作る」だけではなく、「顧客と一体となって価値を共創できるようなスキルや視点をもつこと」が、より一層重要になってくると考えています。実際、私は複数案件を横断的にマネジメントする中で、得た知見や成功事例を別の案件に展開することで、提案や開発内容の質を高めることを常に意識しており、自社サービスで培ったノウハウを受託開発に応用するなど、事業の多様性が価値創出につながるケースも多くあります。
チーム編成においても、今後の開発現場では「一芸に秀でた」スキルセットを持つ人材、つまり強みが明確なエンジニアがより一層求められると感じています。そして、そうしたメンバーを束ねるマネージャーにも、より高度な知見と柔軟なマネジメント力が必要です。AIやクラウドなどの最先端技術に対する理解を持ち、顧客とのコミュニケーションの中でも、自身の経験や知識をもとに価値を示していけるかどうかが重要になってくるでしょう。
生成AIによる変化は、確かに脅威でもありますが、同時に新たなチャンスでもあります。技術を正しく理解し、最適なチームを編成し、顧客とともに新たなフェーズを築いていく。その役割を果たすためにも、自分自身のスキルと視座を日々アップデートし続けることが、これからますます重要になってくると実感しています。
