SPEAKER
- 前田 早都美
- ネオス株式会社
コンシューマ&コンテンツカンパニー 企画開発部
Interview
前職では編集プロダクションに在籍しており、ネオス入社後は制作系のノウハウを活かし、ガラケー向けコンテンツ制作を担当していました。しかし、スマートフォンの普及により既存の事業は徐々に縮小。そうしたタイミングで、長嶋さんを中心に立ち上がったプロジェクトチーム「Kプロ」に合流し、キッズ向けビジネスの拡大をミッションとしてさまざまな案件に携わりました。
印象に残っているのは、ある大手玩具メーカーとともに、子ども向けのゲーム機開発プロジェクトに取り組んだことですね。今思えば、初めて本格的にアプリ開発に関わった仕事でした。それまではガラケーの待受コンテンツなどを手がけていたので、アプリの開発となると技術的な要件も進め方も全く別物、外部の開発会社に協力を仰ぎながら、ゼロから手探りでのスタートでした。納期が迫る中で大量のバグが発生し、メンバーと真っ青になりながらなんとか乗り切ったことを覚えています。そのなかで自然とプロジェクト管理の知識や、さまざまな状況への対応力、そして現場での“度胸”のようなものが培われていったと思います。

その後は、dキッズ向けのアプリ開発や、教育系出版社からの受託による学習コンテンツの制作など、数年にわたりさまざまな案件を経験しました。そうした取り組みを経て、本格的に始動したのがゲーム事業への参入です。
アプリと比較すると、コンソールゲームは1本のタイトルに複数のゲームサイクルやシナリオ、ミニゲームなどが内包されており、開発の深度が格段に深くなる印象を受けました。クリエイティブの面でも、単純に画面サイズが大きくなることに加えて、細部までの作り込みが求められます。特に、「クレヨンしんちゃん『オラと博士の夏休み』」では、“世界観”や“高精細なビジュアル”をどこまで表現できるかが大きなカギとなりました。ゲーム監督が自ら舞台のモチーフとなった熊本県の各地を訪れ、収めた写真を参考資料とするなど、リアルな風景描写や空気感を丁寧に作品へ反映しています。この徹底した作り込みは、次作の「クレヨンしんちゃん『炭の町のシロ』」にも受け継がれ、ネオスのゲーム作品を特徴づける大きな要素のひとつとなっています。

また、ブックレットなどの特典を同梱したプレミアムパッケージ版も制作し、色校正のために印刷所に足を運び、校了直前まで何度も調整を重ねました。デジタルで構築した世界観を、リアルな商品としてどのように表現するか――そうした挑戦ができたのも、コンソールゲームならではの貴重な経験だったと感じています。
現在では、ゲーム事業の拡大とともにチーム体制も大きくなってきています。外部の制作パートナーとのネットワークも広がりつつあり、新作開発に向けてチーム全体が常にフル稼働の状態です。
ふり返ってみても、かつてKプロで“とにかくやってみる”という姿勢で挑んでいた頃と、仕事に向き合う感覚はあまり変わっていません。常に模索を続け、改善し、より面白く、よりユーザーの心に届くものを目指す。この姿勢こそが、チームとして成長し続ける原動力なのだと思います。