SPEAKER
- 原 裕二
- アイワマーケティングジャパン株式会社
常務執行役員
Interview
aiwa事業にはブランドの立ち上げ当初から携わってきました。ゼロからブランドを築き、市場での認知や信頼を一歩ずつ積み上げていくプロセスは、非常にチャレンジングであると同時に、なかなか得難い経験だと思います。
2022年8月には、aiwa製品第1弾としてスマホやタブレットなどのラインアップを発表しました。テレビやWebなど多くのメディアに取り上げていただきましたが、当時「aiwa=デジタルデバイス」という認知はまだ皆無。まずは販売店や流通パートナーを地道にまわって、ブランドの背景や製品の魅力を伝えていくところからのスタートでした。
コストパフォーマンスの高さには早くから注目していただけましたが、製品ラインアップもまだ少なく、数字として成果が出るにはある程度の時間がかかると覚悟していました。それでも、ローンチから1年ほど経った頃には、とある大手家電量販店でのタブレット販売台数がトップ3に入るなど、着実な手応えを感じ始めます。「日本メーカーのタブレットが2万円台で手に入る」という意外性も、ユーザーや販売店から好意的に受け止められ、売り場にaiwaコーナーを設けてくださる店舗も増えていきました。

タブレットやPCなどの分野において、日本の大手メーカーが中国・台湾勢に押されている状況の中、私たちは深圳に製造拠点を置くJENESISを親会社に持つことで、日本ブランドでありながら海外メーカー並みのスピードと価格競争力を実現できる体制を整えています。この“ハイブリッドな強み”こそが、アイワマーケティングジャパンの大きな特長だと思っています。
現在、主力のタブレット製品は堅調に推移しており、次の柱づくりにも着手しています。象徴的なのが、2025年3月に発売したコンパクトデジタルカメラです。スマホがカメラ代わりになる時代ではありますが、例えば修学旅行などで「スマホは持ち込み禁止、でもデジカメならOK」といったケースが今も多くあります。また、さまざまな事情から通信機器を持ち込めない環境で、記録用にカメラが必要とされる場面もある。市場調査を通じてそうしたニーズに狙いを定め、2万円を切る価格設定とセルフィー機能などを盛り込んだ結果、想定を上回るヒット商品となりました。国内メーカーが相次いで撤退し、空白となっていた領域で着実に需要をつかめた好例だと感じています。

こうした成功の背景には、JENESISの代表であり、当社の代表でもある藤岡の存在が非常に大きいです。モノづくりのプロフェッショナルであり、深圳のサプライチェーンにも精通しているため、「こんな製品を考えている」と相談すれば、すぐに見積や試作が上がってきます。
アイワマーケティングジャパンが市場や営業現場から持ち帰った情報をもとに企画を立て、それをJENESISが具現化する。このスピード感と柔軟性のある体制は、当社にとってかけがえのない強みです。製品化までを小ロットで素早く回せるため、「まずは小ロットでつくって市場の反応を見る」といった攻めの打ち手が可能になります。また、私たちが企画を提案した際に、NOと言われることは基本的にありません。「まずはやってみよう」というスタンスで検討し、見込みがあればすぐに動ける環境がある――これは他社にはなかなか真似できないポイントだと思っています。
市場には既に数えきれないほどのデバイスが溢れています。そうした中で、私たちは「手頃で信頼できる日本ブランド」としてのaiwaを確立しつつ、他社がなかなか手を出しにくいニッチなニーズを見抜き、スピーディーに製品化し、ヒットの芽を生み出していく。これからも、「日本品質 × 海外のスピード感」というアイデンティティを最大限に活かし、aiwaを再び“生活の中に当たり前にあるブランド”へと育てていきたいと考えています。